初診から、ちょうど1ヶ月。
いよいよこの日が来てしまいました。
右乳房の吸引式乳房組織生検、そして脇リンパのコア針生検。
「ここまで来たら、もう受けるしかない」
そう分かっていても、病院へ向かう足取りはどこまでも重く、心の中はずっと沈んだままでした。
“痛いらしい”という話は、もう嫌というほど目にも耳にも入ってきていて。
検査室に入る前から、私はすでにかなり消耗していたのだと思います。
この日は、ただの検査日ではありませんでした。
自分の体の中にある「何か」を、現実として突きつけられていくような――
そんな、忘れたくても忘れられない一日になりました。
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いよいよ始まる精密検査。逃げたくても逃げられなかった日
検査室に呼ばれ、ベッドに横向きになるように言われました。
静かな部屋。
無機質な空気。
機械の音。
必要以上に明るく感じる照明。
そのすべてが、余計に不安を大きくしていきます。
「大丈夫ですよ」と言われても、その言葉をそのまま信じられるほど、私は落ち着いてはいませんでした。
これから何が起きるのか。
どれくらい痛いのか。
そして何より、この検査の先にある結果が怖かった。
ただベッドに横たわっているだけなのに、心の中ではずっと「帰りたい」が渦を巻いていました。
嫌な予感が的中した、若手医師の担当
検査が始まる直前、そこには二人の医師がいました。
ひとりはベテランの先生。
そしてもうひとりは、見るからに若い先生。
その瞬間、胸の奥がざわっとしました。
なんとなく嫌な予感がしていたのですが、その予感はあっさり当たります。
実際に処置を担当したのは、その若手医師の方でした。
もちろん、誰にでも経験を積む過程があることは分かっています。
一人前になるためには、こういう現場が必要なのだということも、頭では理解していました。
でも、その時の私はそんなふうに“理性的”ではいられませんでした。
正直に言えば、心の中ではずっとこう思っていました。
「どうして、よりによって今日の私なんだろう」
ただでさえ恐怖でいっぱいなのに、処置の手つきが少しぎこちなく見えるだけで、体が勝手にこわばってしまう。
麻酔を打つ動きひとつ、器具を当てる角度ひとつにまで敏感になっていました。
しかもその先生は、何かあるたびにベテラン医師に確認を取りながら進めていて。
その様子を見るたびに、私の中の不安はどんどん膨らんでいきました。
「こわい、こわい、いけるか……」その言葉に震えた
そして、忘れられない瞬間があります。
処置の途中、その若手医師が小さな声でぼそっと言ったのです。
「こわい、こわい、いけるか……」
……え? 今、なんて言った?
一瞬、耳を疑いました。
でも、確かに聞こえたんです。
その言葉を聞いた瞬間、私は心の中で叫んでいました。
「お願いだから、不安になることを声に出さないで」
こちらは、もう十分すぎるほど怖いんです。
ベッドの上で身動きもできず、痛みと不安と結果への恐怖を全部ひとりで抱えているのに――。
ほんの一言だったのかもしれません。
でも、その一言は当時の私にはあまりにも大きくて、心を深く揺らしました。
検査そのものの痛みだけではなく、
「安心して任せられない」という怖さが、さらに重なってしまったのです。
麻酔をしていても消えなかった、体の奥の鈍い痛み
もちろん、麻酔はしてもらっていました。
だから、何もかもが完全に“激痛”だったわけではありません。
でも、麻酔をしたからといって、全部が平気になるわけでもありませんでした。
刺される感覚。
押し込まれる感覚。
奥の方をぎゅうっと圧迫されるような、鈍くて重たい痛み。
体の内側を何かが探っているような、不快で逃げ場のない感覚がずっと続いていました。
「痛い」と一言で片づけてしまうには、少し違う気もします。
それは、痛みと恐怖と違和感が全部混ざったような、なんとも言えない苦しさでした。
しかも私は、右乳房だけではなく脇リンパの検査もあったので、ただでさえしんどい時間がさらに長く感じられました。
ひとつ耐えて終わりではない。
「まだある」「次もある」と思うだけで、心まで削られていくようでした。
静かな部屋に響いた「ブチッ、ブチッ」という音
この日の記憶の中で、今でも鮮明に残っているものがあります。
それは――
組織が採られていく音です。
静かな検査室の中に、はっきりと響いたその音。
「ブチッ、ブチッ」
あれは本当に、忘れられません。
自分の体の一部が、今まさに切り取られている。
その現実を、耳から突きつけられるような感覚でした。
目を閉じていても、耳は塞げない。
「聞きたくない」と思っても、その音は容赦なく入ってきます。
ただ痛いだけなら、まだ耐えられたかもしれません。
でも、その音は、私に“現実”を何度も思い知らせました。
「ああ、私は本当に病気を疑われていて、今そのための検査を受けているんだ」
そう認めざるを得ない時間でした。
右乳房と脇リンパ、2か所の検査で心も体も限界だった
脇リンパで耐えて、次は乳房。
あるいは乳房で耐えて、次はリンパ。
順番すら曖昧になるほど、その時間は長く感じられました。
「早く終わってほしい」
「もうやめてほしい」
「でも途中で止められるわけがない」
そんな気持ちが、頭の中をぐるぐる回っていました。
終わった瞬間に感じたのは、解放感というよりも、ただの放心状態でした。
ほっとしたというより、もう感情を動かす力が残っていなかったのだと思います。
ベッドの上で、ぼんやりと天井を見ながら、
「ああ、終わったんだ……」とだけ思っていました。
でも本当は、その時点で何も終わってなんていなかったんですよね。
ここから先に待っている結果こそが、本当に怖かったのですから。
検査が終わったあと、心に残ったのは安堵ではなく絶望だった
検査後は、患部をしっかり圧迫して止血をする時間がありました。
その間、私はただ静かに座っていました。
誰かと話す気力もなく、スマホを見る余裕もなく、ただぼんやりと時間が過ぎるのを待つしかありませんでした。
痛みを耐えたあとの体は重く、心は空っぽでした。
「頑張った」と自分を励ますような気持ちには、とてもなれなかった。
むしろ、心の奥にあったのは、どこまでも暗い絶望感でした。
何か大きな穴の底に落とされたような感覚。
地上の音が遠くなって、自分だけがそこに取り残されたような気持ち。
あの日の私は、検査そのものよりも、その後に押し寄せてきた“現実の重さ”に潰されそうになっていた気がします。
追い打ちをかけた「25,000円」の現実
ようやく着替えを済ませ、重い足取りで会計へ向かいました。
その時の私は、もうすでに心も体もかなり疲れ切っていました。
そして、受付で告げられた金額。
「本日は、25,000円になります」
……25,000円。
一瞬、聞き間違いかと思いました。
思わず明細を見直してしまったのを、今でも覚えています。
以前の検査で、5,000円の支払いにすら「高い……」と震えていた自分が、なんだか遠い昔のことのように感じました。
痛い思いをして、怖い思いをして、心もぐちゃぐちゃになって。
その上で、お財布まで大きく削られていく。
その現実が、あまりにも重たかったんです。
病気って、体だけの問題じゃない。
心にも、生活にも、お金にも、静かに大きな影を落としてくる。
この日、私はそのことを身をもって知りました。
「病気になるって、こういうことなんだ」と思い知った
検査が終わったあとに残るのは、傷や痛みだけではありませんでした。
「これから先、いったいいくらかかるんだろう」
「もし治療が始まったら?」
「仕事や生活はどうなる?」
そんな不安が、一気に現実味を帯びて押し寄せてきました。
まだ結果も出ていないのに、すでに“これから”の重さに押しつぶされそうになる。
病気を疑われるということは、こういうことなんだ。
ただ診察を受けて終わり、では済まないんだ。
あの日、私はようやくその入口に立たされた気がしました。
病院を出た時、外の景色はたしかにいつも通りだったはずなのに、私にはまるで色を失ったように見えました。
空も、木々も、人の流れも。
全部が遠くて、薄くて、モノクロのようでした。
それくらい、心が現実についていけていなかったのだと思います。
結果が出るまでの日々は、生きた心地がしなかった
検査が終われば、少しは気持ちが落ち着くのかもしれない。
そんなふうに思っていた時期もありました。
でも実際は、まったく逆でした。
検査が終わったことで、むしろ「結果待ち」という新しい苦しさが始まったのです。
あの日から、頭の中ではずっと同じことばかり考えていました。
「もし悪性だったら」
「いや、まだ分からない」
「でも、ここまで検査するってことは……」
希望を持ちたいのに、希望を持つのが怖い。
大丈夫だと思いたいのに、その言葉を自分で信じきれない。
そんな時間が、ただ静かに続いていきました。
家族の前ではなるべく普通にしていても、ひとりになると気持ちはすぐ暗い方へ引っ張られていく。
夜になると、余計にいろいろ考えてしまって、眠ることすら難しい日もありました。
「どうか、何かの間違いであってほしい」
何度そう願ったか分かりません。
でも、その願いすら口に出すのが怖くなるほど、あの日の検査は私に現実を突きつけていました。
Rino’s Choice|心が限界になる前に、逃げ場をひとつ持っておくこと
病気の不安って、体のことだけでは終わりません。
結果を待つ時間。
先の見えない怖さ。
家族の前では平気なふりをしてしまう苦しさ。
そういうものが少しずつ積み重なって、気づいた時には心の方が先に限界に近づいていることがあります。
私自身もあの頃、誰かに全部をそのまま吐き出せたら、もう少し違ったのかもしれないと何度も思いました。
「こんなことで弱音を吐いちゃいけない」
「もっと大変な人もいる」
そうやって自分の気持ちを押し込めてしまう人ほど、本当はひとりで抱え込みやすいのかもしれません。
そんな時に、心の逃げ場としてこういう選択肢を知っておくのもひとつだと思います。
オンラインで相談できる場所があるという安心
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家族や友人には言いにくいことでも、第三者だからこそ話せることがあります。
不安で押しつぶされそうな夜、
誰にも見せられない気持ちを抱えたまま朝を迎える前に、
「話してもいい場所」があることは、それだけで少し救いになることがあります。
もし今、心が張りつめすぎていると感じているなら、
無理に強くいようとしなくても大丈夫です。
ひとりで耐えすぎないための選択肢として、こういう場所を知っておくのも悪くないと思います。
検査のあと、家に戻ってからそっと欲しくなったもの
大きな検査や不安な通院のあとって、
「何かを頑張る」より先に、まずは心と体を静かに落ち着かせたくなるものです。
この日も私は、帰宅してからただ静かに座っていたくて、
少しでも呼吸が浅くならないように、自分を落ち着かせるものが欲しいと思いました。
ここでは、そんな時に“暮らしの中でそっと寄りかかれるもの”として、やさしく寄り添ってくれそうなものを置いておきます。
Rino’s Choice|ほっと一息つけるティーセット
病院帰りの日って、心も体も張りつめていて、気づかないうちに呼吸が浅くなっていることがあります。
そんな時、温かい飲み物をゆっくり飲む時間があるだけで、少しだけ現実から離れられることがあります。
お気に入りのカップやティーセットは、ただの“物”というより、
「今日はもう頑張らなくていいよ」と言ってくれる小さな味方のように感じることもあります。
Rino’s Choice|部屋の空気を少しやわらげてくれる観葉植物
不安が強い時ほど、部屋の空気までどこか重たく感じてしまうことがあります。
そんな時に、視界に小さな緑があるだけで、気持ちが少しだけほぐれることがあります。
何かを解決してくれるわけではなくても、
静かにそこにいてくれる存在があることが、意外と心の支えになることもあるんですよね。
Rino’s Choice|眠れない夜に寄り添う、やわらかなタオルケット
検査後や結果待ちの時期は、体は疲れているのに、気持ちだけが休まらなくて眠れない夜もありました。
そんな時、肌ざわりのいいタオルケットや、包まれる感覚のある寝具は、ほんの少しだけ安心をくれることがあります。
「ちゃんと眠らなきゃ」と思うほど眠れなくなる夜に、
少しでも心がほどけるものがあると、それだけで救われることがあります。
この日、私は「まだ結果が出ていない怖さ」を初めて知った
痛みのある検査。
不安を煽るような空気。
組織が切れる音。
そして、想像以上に重たかった検査費用。
この日は、ただ「しんどかった」で終わる一日ではありませんでした。
“病気かもしれない”という現実が、いよいよ逃げられない形で目の前に現れた日。
まだ確定していないはずなのに、心はすでにかなり深いところまで追い込まれていました。
それでも、あの日の私は検査を受けて、ちゃんとその場にいました。
怖くても、泣きたくても、帰りたくても。
それでもベッドの上で耐えていた自分がいたことを、今は静かに抱きしめてあげたいと思います。
同じように、不安な検査や結果待ちの時間を過ごしている方がいたら――
どうか、自分の心まで置き去りにしないでいてください。
体の治療と同じくらい、心を守ることも大切なのだと、私はあの日の自分から教えられた気がしています。
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この検査のあと、私を待っていたのは、いよいよ避けては通れない「結果の日」でした。
診察室に呼ばれる前の空気。
医師の何気ないひと言。
そのすべてが、今思い返しても胸の奥をざわつかせます。
次回は、がん告知を受けたあの日のことを綴ります。
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乳がん体験談【第7話】運命の告知日。「ご家族はご一緒ですか?」その一言ですべてを悟った。
この記事について
※本記事は筆者個人の体験談です。症状・検査・痛み・費用・治療の流れには個人差があります。
※医療的な判断や治療方針については、必ず医療機関・主治医にご相談ください。
※掲載している商品・サービスは、当時の自分の気持ちに寄り添う「選択肢のひとつ」として紹介しているものであり、特定の治療や効果を保証・推奨するものではありません。

