緊急帝王切開から3日目。
背中から入っていた硬膜外麻酔が外れ、痛み止めなしでは体を起こすことすらつらい朝でした。
傷の痛みも、後陣痛の苦しさも、まだしっかりと残っている。
それでもこの日、私の心はひとつのことしか見ていませんでした。
「今日、ようやくあの子に会える」
その思いだけで、私はなんとか気持ちをつないでいました。
午後。
車椅子に乗り、看護師さんに押されながら向かった先は、NICU(新生児集中治療室)。
生まれてからまだ一度も、ちゃんとこの目で見ることができていなかった我が子に、ようやく会える日。
嬉しいはずなのに、怖さもある。
会いたくてたまらないのに、現実を見るのが怖い。
そんな複雑な感情を抱えたまま、私は静かにNICUの扉の前にたどり着きました。
※本記事はプロモーションを含みます。
はじめて足を踏み入れたNICUという場所
扉の向こうに広がっていたのは、私が想像していた以上に、
「命の最前線」
という言葉がぴったりな空間でした。
部屋の中には、たくさんの保育器。
そして、そのひとつひとつに、小さな命が確かに存在していました。
静かそうに見えて、実際にはとても濃密な空気が流れている場所でした。
医療スタッフの方たちが慌ただしく動きながら、ひとつひとつの命を見守っている。
「ピッ、ピッ」と一定のリズムで鳴り続けるモニター音。
そこにいる誰もが、赤ちゃんたちの“今”を守るために動いていることが伝わってきました。
その空間は、冷たいどころか、むしろあまりにも真剣で、あまりにも尊くて、私は圧倒されました。
「救われた」という実感が、静かに押し寄せた
本来、この病院のNICUでは、主に1,000g〜1,499gほどの赤ちゃんたちを受け入れていたそうです。
そんな中で、1,000gにも満たないわが子のために、急遽専門の体制を整えてくださったことを知りました。
その事実を目の前の光景と重ねた瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなりました。
「あの子は、ちゃんと守られていたんだ」
緊急出産のあの瞬間から、見えないところでたくさんの人が命をつないでくれていた。
私はそれを、この場所に来て初めて、はっきりと実感したのです。
言葉にできないほどの感謝が、胸いっぱいに広がっていきました。
一番奥のブースで、ようやく会えた我が子
看護師さんに案内されながら、私はNICUの奥へと進みました。
保育器の中で静かに眠る赤ちゃんたちの姿が目に入るたび、胸がぎゅっと締めつけられます。
みんな小さい。
でも、その中でも、私の子はさらに小さい場所にいると聞いていました。
そして、一番奥のブースへ。
ついに、その瞬間がやってきました。
――はじめて見る、私の我が子。
その姿を目にした瞬間、私はもう、言葉を失いました。
「……っ」
声にもならない何かが喉の奥につかえ、次の瞬間には、涙が一気に溢れていました。
ずっと会いたかった。
ずっと、生きていてほしいと願っていた。
ずっと、どうか無事でいてと祈り続けていた。
その子が今、目の前にいる。
その現実だけで、心の中に張りつめていたものが、一気に崩れていったのだと思います。
視界が涙でぼやけて、ちゃんと見たいのに、うまく見えない。
でも、それでも、確かにそこにいました。
私の赤ちゃんが、そこにいたのです。
あまりにも小さく、あまりにも痛々しい姿
そこにいた我が子は、想像していたよりも、はるかに小さな小さな存在でした。
小さい、なんて言葉では足りないほど、繊細で、儚くて、でも確かに命を宿している体。
全身には、命を守るためのさまざまな管がつながれていました。
それは「治療のために必要なもの」だと頭ではわかっていても、母親としてその姿を見るのは本当につらかったです。
ただ眠っているように見えるのに、その小さな体は必死に生きようとしている。
その姿を見て、涙をこらえられる母親なんて、きっといないと思います。
私の胸の中に押し寄せてきたのは、愛しさだけではありませんでした。
そこには、どうしようもない自責の気持ちもありました。
「健康に産んであげられなくて、ごめんね」
「こんなに小さな体で、こんな思いをさせてしまってごめんね」
誰かに責められたわけではありません。
でも、自分で自分を責める気持ちは、止められませんでした。
普通なら、赤ちゃんが生まれたら、あたたかい肌に触れて、抱っこして、幸せな涙を流すはずだった。
なのに私が最初に見た我が子は、たくさんの医療機器に守られながら懸命に生きている姿でした。
その現実があまりにも重くて、胸が痛くてたまりませんでした。
触れてもいいと言われた、その瞬間
そんな私に、看護師さんがやさしく声をかけてくれました。
「触れてもいいですよ」
そのひと言に、私は一瞬息をのみました。
触れていい。
本当に?
こんなに小さくて、こんなに繊細な子に、私なんかが触れても大丈夫なの?
そんな不安を抱えながら、私はそっと手を伸ばしました。
指先が震えていたのを、今でもよく覚えています。
涙で何度も視界がにじみ、そのたびに目元をぬぐいながら、ようやくその小さな指先に、自分の指を近づけました。
そして、ほんの少しだけ、そっと触れたその瞬間――
私はもう、感情を保っていられませんでした。
指先から伝わってきた、確かな命
その温もりは、本当にかすかなものでした。
でも、たしかにそこに命がありました。
小さくて、弱々しく見えるのに、
その中にはちゃんと「生きようとする力」が宿っていたのです。
私はその温もりに触れた瞬間、ようやく「会えた」と心から思いました。
出産からここまでの時間が、どれほど長く、どれほど苦しかったか。
そのすべてが、この一瞬に集まってきたようでした。
我が子はこんなにも小さいのに、こんなにも力強かった。
そして私は、その小さな命から、もうすでにたくさんのことを教えられていたのだと思います。
Rino’s Choice|赤ちゃんを迎える日を思いながら、そっと揃えたもの
NICUで過ごす時間の中では、今すぐ使えるものばかりではありませんでした。
それでも、「いつかこの子と家で暮らせる日が来る」と信じるために、少しずつ揃えたものがあります。
そんな小さな準備が、張りつめた心をそっと支えてくれることもありました。
哺乳瓶セット|“いつか飲める日”を信じるために
すぐに使えなくても、哺乳瓶を見ていると「ちゃんとおうちでミルクを飲む日が来る」と思えました。
未来を想像できるものは、思っている以上に心の支えになります。
洗いやすさや、消毒しやすいセットタイプは、退院後の慌ただしい毎日にも役立ちやすいと感じます。
入浴セット|退院後の“はじめてのお風呂”を想像して
NICUにいる間はまだ遠い未来のように思えても、「この子をお風呂に入れられる日が来る」と思えるだけで、気持ちが少し前を向きました。
ベビーソープやガーゼ、やわらかなケア用品がまとまっているセットは、準備の負担を減らしてくれるやさしい存在です。
バスタオルセット|小さな体をやさしく包みたい気持ち
赤ちゃんの肌に触れるものは、できるだけやわらかく、安心できるものを選びたくなります。
バスタオルやガーゼタオルは、お風呂上がりだけでなく、日常のさまざまな場面で本当によく使います。
何枚あっても助かる定番だからこそ、気持ちよく使えるものを選んでおくと、退院後の暮らしが少しやさしく整います。
頑張る自分の心にも、やさしい余白を
赤ちゃんのことばかりを考えて、気づけば自分の心が置き去りになってしまうこともあります。
でも、本当に苦しい時ほど、ほんの少しでも「自分のためのやさしさ」が必要でした。
HitoHanaのお花の定期便|張りつめた毎日に、彩りをくれる存在
病院と家を行き来する日々の中で、心はいつもどこか張りつめていました。
そんな時、ふと目に入るお花の色ややわらかな空気感に、救われる瞬間があります。
HitoHanaのお花の定期便は、好きな色味を選べるのも魅力のひとつ。
「何かを頑張るため」ではなく、
“自分の心を少しだけ休ませるため”
の小さな余白として、こういうものがあるのも素敵だなと思います。
もしもの備えを考える保険相談という選択肢
出産や入院を経験すると、これまで当たり前だと思っていた毎日が、どれほど不確かなものだったかを思い知ることがあります。
だからこそ、家族のこれからを守るために、保険や生活の備えを見直したいと感じる方も少なくないと思います。
すぐに何かを決める必要はなくても、「相談できる場所がある」と知っているだけで、少し安心できることもあります。
ようやく動き出した、私たちの「親子の時間」
この日、私はようやく我が子に会うことができました。
それはただの「初対面」ではなく、止まっていた時間が、ようやくまた動き出したような感覚でした。
もちろん、現実は決してやさしいものではありません。
痛々しい姿に胸を痛め、母として何もしてあげられない自分を責め、涙が止まらなくなる瞬間もありました。
でも、それでも。
指先に触れたあの小さな温もりは、確かに私に希望をくれました。
あの子は、生きている。
こんなにも小さな体で、今この瞬間も懸命に生きている。
その事実が、私の中で何より大きな光になったのです。
親として何ができるのか、まだ何もわからない。
それでも、私はこの子の母親として、ここからまた一歩ずつ進んでいこうと思いました。
次回予告|減り続ける体重の先で見た、小さな命の闘い
ようやく会えた我が子。
でも、安心したのも束の間でした。
NICUで知らされたのは、生理的体重減少という現実。
742gで生まれたわが子は、その後さらに体重が減り、520gというあまりにも小さな数字になっていました。
次回は、その数字を目の前にした時の気持ちと、
それでも懸命に生きようとしていた我が子の姿について綴ります。
▶︎ 次回記事はこちら
超未熟児【第10話】生まれてから減り続ける体重。520gの我が子が教えてくれた「生きるための闘い」
※本記事は筆者個人の体験談です。出産や治療の経過、感じ方には個人差があります。医療的な判断や不安がある場合は、必ず主治医や専門機関にご相談ください。
※掲載している商品・サービスは一例です。必要なものや選択肢は、ご自身やご家族の状況に合わせて、無理のない範囲でご検討ください。

