乳がん体験談【第14話】入院前の不安と、愛犬に託した小さな約束

※本記事はプロモーションを含みます。

久しぶりに訪れた大学病院の空気は、どこかひんやりとしていて、胸の奥まで冷えていくように感じられました。

この日は、来月に迫った入院に向けて詳しい説明を受ける日。病院へ来ただけなのに足取りは重く、どこか逃げ出したいような気持ちさえありました。

渡された書類を確認するたび、遠くに置いていたはずの「現実」が、少しずつ自分の中へ沈み込んでくるのを感じていました。

乳がん体験談【第14話】
入院準備の現実と、愛犬に託した小さな希望
入院説明を受けた日の気持ち
自分の手術と愛犬の病が重なった苦しさ
未来を信じるために残した「ひとり時間」

🐾 入院準備が進むほど、頭の中は愛犬のことでいっぱいだった

この頃の私は、自分の入院や手術の準備を進めながらも、頭の中の大半を愛犬・ゴルちゃんのことが占めていました。

必要なものを揃え、説明を受け、今後の流れを確認する。本来なら自分の身体と向き合わなければいけない時期なのに、気持ちはどうしても別のところへ引っ張られてしまいます。

その頃から、私はこれまでにないほど深く沈むような気持ちになることが増えていきました。

もちろん、これまで一緒に暮らしてきたどの子も大切な家族です。でも、ゴルちゃんには他の子たちとは少し違う、特別な想いがありました。

まだ4歳にも満たない若さで、あまりにも過酷な現実を背負わせてしまったからなのだと思います。

「まだまだ一緒にいたい」
「もっと、あの無邪気ないたずらっ子の顔を見ていたい」

そう願わずにはいられないのに、目の前にいるのは、日に日に元気を失っていく姿でした。

昨日まで当たり前にあった日常が、少しずつ崩れていく。その現実は、私の胸を静かに、でも確かに深くえぐっていきました。

🩺 14時の診察室で、現実味を帯びる「患者としての私」

乳腺外科で名前を呼ばれたのは、14時を少し過ぎた頃でした。

週明けの月曜日ということもあり、待合室はかなり混雑していて、待っているだけでも疲れがたまっていくような空気でした。

数ヶ月待ち続けてようやく受けた術前検査では、新たな異常は見つかりませんでした。今の私には「これ以上何も増えない」という事実だけでも、十分すぎるほどの救いでした。

ただ、診察室で渡される書類の束や、何度も求められるサインは、別の意味で私を現実へ引き戻しました。

ひとつずつ説明を受け、同意欄に名前を書くたびに、少しずつ自分の自由が削られていくような感覚に襲われたのです。

病気になる前の私は、健康であることをどこか当たり前のように思っていました。

それが今では、風邪をこじらせて薬を飲み、手術前の体調管理に気を配りながら暮らしている。少し前まで想像もしなかった「患者としての自分」が、現実になっていました。

身体の弱さと向き合うことは、想像以上に心を削るものなのだと、何度も思い知らされていました。

🕊️ 「ひとり時間」に託した、小さな希望

入院の日が決まり、その少し前に、私は近くの宿を予約していました。

ほんの短いひとり時間を過ごすための予定です。それを決めたのは、まだゴルちゃんがもう少し元気だった頃でした。

けれど状況が変わってからは、何度も迷いました。

「やっぱりキャンセルしたほうがいいのかな」

スマートフォンの画面を開いては閉じ、予約画面を見つめてはため息をつく。今このタイミングで家を空けることに、強い迷いがありました。

もし今そばを離れたら、後悔するかもしれない。そんな思いが何度も胸をよぎりました。

でも、その先にはどうしても避けられない入院と手術があります。1ヶ月近い空白の時間が、すでに決まっていました。

だから私は、あえて予定を変えないことにしました。

「退院して、また必ずゴルに会う」
その未来を手放さないために、当初の予定どおり進むことへ小さな希望を託しました。

ひとりで過ごす時間は、ただ気分転換をするためではなく、これからの自分に静かに覚悟を刻むための時間でもありました。

🤍 家を離れるまでの時間が、何より愛おしかった

理不尽な運命に打ちのめされて、気持ちは何度も沈みました。

でも、どれだけ苦しくても、現実から完全に目をそらすことはできません。

今の私にできることは、家を離れるまでのあいだ、ゴルちゃんと過ごせる時間を何より大切にすることでした。

何気ない寝顔
ふとした視線
少しゆっくりになった足取り

それまでなら見過ごしてしまっていた一瞬一瞬が、全部かけがえのないものに思えました。

「どうか、退院するその日まで」
「どうか、またこの子に会えますように」

未来がどうなるのかは、誰にも分かりません。どんなに願っても、現実はときに残酷です。

それでも、これから待っている運命がどんなものであっても、私は受け止めて生きていかなければいけない。

それが残された者に課せられる現実なのだと、少しずつ理解し始めていました。

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💬 ひとりで抱えきれない夜に、頼っていい場所

自分自身の入院と手術、そして愛犬の病。どれかひとつでも足がすくむような出来事が、あの頃は同時に押し寄せていました。

誰にも言えない不安や、整理しきれない感情があるなら、専門家に話を聞いてもらうという選択肢もあります。ひとりで抱え込まなくていいと思える場所を、必要なときに頼ってもいいのだと思います。

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※特定のサービスを強く推奨するものではありません。ご自身の状況に合わせてご判断ください。

🌿 逃げないと決めたのは、未来の自分への約束だった

  • 宿をキャンセルせず、未来を信じる予定を残した
  • 入院の準備を進め、自分の現実と向き合った
  • 退院して、またゴルちゃんに会うと心に決めた

「逃げない」と決めたのは、誰かに強く見せたかったからではありません。これ以上、大切なものから目をそらしたくなかったのです。

そう決めることでしか、自分を支えられない日もありました。それでも、小さな希望だけは最後まで手放したくなかったのだと思います。

📖 次回の記事へ

入院前の時間は、思っていた以上に静かで、そして残酷でした。

次回は、大切な愛犬にかけた言葉、私を見送るあの子のまなざし、そして手術室へ向かう直前の気持ちを綴ります。

※本記事は私自身の体験をもとにした個人の記録です。病気や手術、心の揺れ、ペットとの暮らしの感じ方には個人差があります。ご自身やご家族、ペットの体調や治療については、必ず主治医・専門家・信頼できる獣医師にご相談ください。

※掲載している商品やサービスは、当時の暮らしや気持ちの流れの中でご紹介しているものです。特定の効果や結果を保証するものではありません。