※本記事はプロモーションを含みます。
大学病院で「あと数日かもしれません」と告げられてから、数日が経ちました。
ゴルちゃんがごはんを食べなくなって、今日で3日目。体力が落ちていく中で、その日私は初めて自宅で点滴をしました。
慣れない手つきで準備をしながら、手はずっと震えていました。それでも、少しでもこの子が楽になるなら、できることをしたかった。
点滴を終えると、ゴルはほんの少しだけ表情をゆるめてくれました。
その“ほんの少し”が、あの頃の私には何より大きな希望でした。
❄️ 雪の上で見せてくれた、あの子らしい時間
夕方、相棒のバニが散歩から帰ってきた時のことです。
ゴルが自分の力で立ち上がり、ひょこひょこと玄関まで迎えに行ったのです。
大学病院から戻ってからは、横になっている時間がほとんどでした。だからその姿を見た瞬間、驚きと安堵が込み上げました。
まだ歩ける。まだ、大好きな存在を迎えに行こうとする気持ちが残っている。
それだけで胸がいっぱいになりました。
外を見ると、ちょうど雪がやんでいました。元気だった頃のゴルは、雪が大好きでした。
雪玉を夢中で追いかけ、「もっと投げて」と何度もせがんでくる。あの冬の楽しそうな姿は、今でもはっきり思い出せます。
ほんの少しだけ、もう一度外の空気を感じさせてあげたい。ゴルは雪の上へ、そっと体を横たえました。
走り回ることはもうできません。それでも、全身で静かに雪の冷たさを味わっているようでした。
声をかけると、ゴルはすんなり家へ戻ってくれました。その聞き分けの良さが、あまりにも切なく、胸の奥が静かに痛みました。
🫧 酸素がまだ届かない夜
大学病院から戻って以来、私はゴルの呼吸がずっと心配でした。
自宅で使う酸素の機械を準備しようと動いていましたが、その日はまだ届いていません。
本当なら、とても不安な夜になるはずでした。それなのに、家の中は不思議なほど静かでした。
ゴルの呼吸も、思っていたより穏やかに見え、苦しそうな様子が少しやわらいでいました。
もちろん、本当に安心できる状態だったわけではありません。それでも、大きな不安の中に、やわらかな灯りのような時間が確かにありました。
🌙 夜になって、ゴルが選んだ場所
あの日以来、ゴルは片時も離れず、私と同じ部屋で過ごしていました。
けれど、その夜に限って、ひとりでふらりと脱衣所へ向かい、冷たい床の上へ静かに横になったのです。
「寒くない? こっちにおいで」と、一度は元の部屋へ連れてきました。でも、少し目を離すと、また脱衣所へ戻ってしまいます。
どうして、ひとりになるような場所を選ぶの。
あんなにそばにいてくれたのに。どうして今日は離れていこうとするのだろう。
寂しさと戸惑いの中で、私は答えのない気持ちを抱えていました。
🍃 行動の理由は、ひとつとは限らない
私はその夜、犬が弱った時に静かな場所を選ぶことについて調べました。
刺激の少ない場所で休みたい、ひんやりした床を心地よく感じる、体調不良で普段と違う行動を取るなど、考えられる理由はいくつもあります。
呼吸、意識、痛み、体温、食欲などに変化がある場合は、早めに獣医師へ相談することが大切です。
ゴルが何を思って脱衣所を選んだのか、本当のところは分かりません。
ただ、何度連れ戻しても同じ場所へ向かう姿を見て、今はこの場所で静かに休みたいのかもしれないと受け止めることにしました。
🤍 「そっとしておく」という選択
その夜、私はゴルの選んだ場所で、静かに過ごさせてあげようと決めました。
ただ、何もしないではいられません。いつも使っていた大きめのブランケットを持っていき、冷えすぎないよう、そっと掛けました。
その時の寝顔は、とても穏やかでした。
あんなに苦しい時間を過ごしてきたのに、自分の居場所をちゃんと知っているように見えました。
それは、その場で治療をやめると決めた言葉ではありません。翌朝、かかりつけの先生へ相談しようと考えながら、その夜は静かに眠りにつきました。
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雪の上で静かに横たわったこと。バニを迎えに玄関まで歩いたこと。そして夜に、自分が休みたい場所を選んだこと。
そのひとつひとつが、ゴルらしく生きていた時間だったように思います。
別れが近づいていることは、もう分かっていました。だからこそ、無理に引き留めるのではなく、今この子が少しでも穏やかに過ごせる時間を守りたいと思いました。
- 点滴のあと、ゴルがバニを迎えに自分で歩いた
- 大好きだった雪の上で、短く穏やかな時間を過ごした
- 夜は脱衣所を選び、何度戻しても同じ場所へ向かった
- 無理に移動させず、ブランケットを掛けて見守った
- 点滴については翌朝、獣医師へ相談すると決めた
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点滴を続けるかを先生と話し、医療の手を少しずつ離れながら、ただの家族として過ごした最後の朝を綴ります。
大型犬との日々【第13話】点滴を外した日

