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前の病院での初診から約3ヶ月。
紹介状を手に、私は大きな大学病院の門を叩きました。
「次の病院に行けば、きっと治療が前に進む」
そんな思いを抱えながら向かったはずなのに、そこで待っていたのは、想像以上の混雑と、あまりにも重たい現実でした。
田舎の病院とはまるで違う空気。
広くて、冷たくて、どこか緊張感のある廊下。
その場所に立った瞬間、自分が今“本当に大きな病気と向き合っている”のだと、改めて突きつけられた気がしました。
大学病院の空気に、ただ圧倒された朝
その日は、乳腺外科のみの受診でした。
それでも、病院の中は朝からすでに人であふれていて、受付の時点でその規模の大きさに圧倒されました。
名前を呼ばれるまで、長い、長い待ち時間。
朝一番で来たはずなのに、気づけば昼をとうに過ぎていました。
ただ座って待っているだけなのに、心も体も少しずつすり減っていくような感覚。
診察前なのに、すでにどっと疲れてしまっていました。
大学病院という場所は、ただ大きいだけじゃなくて、“命の重さ”が集まる場所なんだと、その待ち時間だけで思い知らされた気がします。
どこを見ても、みんな何かを抱えていて。
不安や痛みや、言葉にできない思いを、それぞれの胸にしまいながら、静かに順番を待っている。
私もそのひとりなんだと思うと、急に心細さが押し寄せてきました。
もう一度、ゼロから確認される自分の体
ようやく呼ばれて診察室に入ると、担当は女性の主治医でした。
少しだけ安心したのを覚えています。
その場で、再度エコーでの確認が行われました。
前の病院で聞いてきたこと、考えてきたこと、自分なりに決めていた希望。
それらをひとつずつ、もう一度この病院で確認していく時間でした。
私はそこで、自分の希望を伝えました。
「お腹の組織を使った乳房同時再建術を希望しています」
前の病院でいろいろ調べて、悩んで、それでも“自分の組織で再建したい”という気持ちは、ずっと変わらずにありました。
失うものが大きいからこそ、せめて自分で納得できる形を選びたい。
それが、あの頃の私にとって、すがるような希望でもありました。
医師から勧められたのは、別の再建方法でした
主治医は私の話を丁寧に聞いた上で、別の選択肢も提示してくれました。
それは、腹部ではなく、背中の組織を使う再建方法です。
医師が勧めてくれた理由は、とても現実的で、患者としてはありがたいものでした。
- 手術時間が比較的短いこと
- 入院期間が短く済むこと
- 身体への負担が少ないこと
どれも、今の私にとってはとても大切な要素でした。
がんの手術だけでも十分大きな出来事なのに、その上に再建手術まで重なる。
体力的にも、精神的にも、決して軽くはありません。
「もう一度、形成外科も含めて、ゆっくり考えてみてもいいと思いますよ」
そう言ってくれたその言葉には、患者としての私を思ってくれている優しさがありました。
でも、その後に続いた話が、私の心を一気に沈めることになります。
「希望の手術は半年先です」と言われた日
私が希望していた腹部組織による再建術は、この病院では月に一度しか行われていないとのことでした。
しかも、その予約はすでにいっぱい。
案内された最短の日程は――来年の2月。
その瞬間、頭の中が真っ白になりました。
え……2月?
今は10月なのに?
そんなに待つの?
7月に初診を受け、8月に告知を受け、10月に大学病院へ転院。
そして、そこからさらに2月まで待つ。
がんが見つかってから、手術まで実に半年以上。
あまりにも長い時間でした。
病気になってからというもの、時間の感覚はおかしくなっていました。
一日一日は重くて長いのに、振り返るとあっという間で。
でも、その“待つ時間”の中で、自分の体の中にあるものだけは、止まってくれないかもしれない。
その現実が、何より怖かったのです。
転移の不安と、「待つ」という決断
医師からは、インプラントによる再建であれば、もっと早く手術に進める可能性があることも説明されました。
そして同時に、期間が延びることによるリスクについても、やんわりと、でも確かに伝えられました。
「絶対とは言えないけれど、時間が延びれば転移のリスクもゼロではありません」
その言葉は、とても静かだったのに、胸に重く残りました。
誰だって、少しでも早く悪いものを取り除きたいと思うはずです。
私だってそうでした。
怖かった。
正直、今すぐにでも切って取ってしまいたい気持ちもありました。
でもそれでも、私はすぐには気持ちを変えられませんでした。
自分の体の一部で再建したい。
できるなら、自分が納得できる方法を選びたい。
その思いを、どうしても捨てきれなかったのです。
そして私は、2月まで待つという道を選びました。
転移しないことに、自分の運命を賭けるような気持ちでした。
あの時の選択が正しかったのか、今でも時々考えます。
でも少なくとも、その時の私は、必死に“自分で決める”ことにしがみついていたのだと思います。
15時間以上の手術と、1週間寝たきりという現実
腹部組織による同時再建は、決して軽い手術ではありません。
説明を受けながら、改めてその大変さを知りました。
手術時間は約15時間。それ以上かかる事も。
術後は1週間ほど寝たきり。
想像以上に、体への負担は大きいものでした。
私はこれまでに腹部切開の経験があり、お腹を切ること自体に対して、まったく未知というわけではありませんでした。
それでも、今回ばかりは話が違う。
ただ病気を取るだけじゃない。
その先の見た目や、自分の心の回復まで含めた、とても大きな手術。
「大変そう」なんて言葉では、とても足りないものでした。
不安はもちろんありました。
でもそれ以上に、「ここまでしてでも、自分が納得できる形を選びたい」と思っている自分にも気づきました。
それはきっと、見た目のためだけじゃなく、“これからも自分として生きていくため”の選択だったのだと思います。
大きな病院で感じた、命の重み
大学病院に行くと、いつも自分の世界が少し広がって、少し苦しくなります。
長い待ち時間の中で、周りを見渡せば、本当にいろんな人がいました。
高齢の方だけではなく、若い人も、そして小さな子どもたちも。
その小さな体で、重い病と向き合っている姿を見ると、胸が締めつけられるような思いになります。
「私なんて、まだ…」
そう思ってしまう瞬間もあります。
でも同時に、比べたところで苦しさは軽くならないことも、ちゃんと分かっています。
誰かの痛みが大きいからといって、自分の痛みが消えるわけじゃない。
だから今は、ただ自分の心情を、正直に綴ることを許してほしいと思いました。
病気と向き合うすべての人に、心からの敬意があります。
そしていつか、病で苦しむことがない未来が、少しでも近づいてほしいと願わずにはいられません。
大学病院に行くたびに、私はそういうことを考えます。
人は、生きることそのものが、こんなにも必死なんだと。
その現実を前にすると、自分の中の小さな強がりや、余計な見栄が、少しずつ剥がれていくような気がするのです。
Rino’s Choice|張りつめた心をやさしくほどく、小さな癒し
病院から帰ってきた日の私は、心がカサカサに乾いていました。
長い待ち時間、緊張、説明、そして“半年待ち”という現実。
帰宅してもすぐには何も考えられず、ただぼんやりしてしまう日もありました。
そんな時、ほんの少しだけ気持ちをゆるめてくれるものがあると、不思議と救われることがあります。
ここでは、そんな“自分をいたわるための選択肢”を、やさしく置いておきます。
入院中や術後にもやさしい、体を支えるクッション
病院のベットに長く座る時間や、術後の体勢のつらさを思うと、体を少しでも楽にしてくれるものは本当にありがたい存在です。
大げさなものではなくても、背中や腰をそっと支えてくれるクッションがあるだけで、疲れ方が全然違うと感じることがあります。
頑張るためというより、“無理を減らすため”に持っておきたいアイテムです。
気持ちが沈む日に、そっと寄り添うお菓子セット
病気のことを考えていると、食べることすら面倒になる日があります。
でも、ほんの少し甘いものや、ほっとする味があるだけで、心がほどける瞬間もあります。
「ちゃんとしなきゃ」じゃなくて、「今日はこれでいい」と思える小さなご褒美。
そんなお菓子の存在に、助けられる日もあると思います。
部屋に置くだけで空気が変わる、観葉植物
気持ちが張りつめている時ほど、家の中の空気まで固く感じてしまうことがあります。
そんな時、目に入る場所に小さな緑があるだけで、不思議と呼吸が深くなることがあります。
「ちゃんと元気にならなきゃ」ではなく、ただそこにあるだけで少し救われるもの。
観葉植物は、そんな静かな癒しをくれる存在でした。
もしもの不安を抱えた時に、考えておきたいこと
病気になると、体のことだけでなく、お金や暮らしのことまで一気に現実味を帯びてきます。
治療そのものへの不安に加えて、「もし長引いたら」「もし予定通りにいかなかったら」と、先の見えない不安が押し寄せてくることもありました。
そんな時、いざという時の備えについて、一度立ち止まって考えることも、自分を守るためのひとつの手段だと思います。
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無理に加入するためではなく、“これからを少し安心して過ごすため”の情報として、見てみるのもひとつです。
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まとめ|「待つ」という時間も、私にとっては治療の一部だった
「手術は半年先になります」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中をよぎったのは、体の中でがん細胞が静かに広がっていくかもしれないという恐怖でした。
今すぐ取れないこと。
ただ待つしかない時間があること。
それは、思っていた以上に苦しいものでした。
インプラントにすれば、もっと早く手術ができる。
でも私は、自分の体の一部で再建したいという思いを、最後まで手放せませんでした。
半年という時間を待つことは、私にとって人生最大の“賭け”だったと思います。
転移の恐怖に怯えながら過ごすのか。
それとも、納得のいく治療のために、自分で選んだ道を信じるのか。
正解なんて、きっと誰にもわかりません。
それでもあの時の私は、震える足でその道を選びました。
不安が消えることはなかったけれど、自分で決めたからこそ、少しずつ覚悟が固まっていったのも事実です。
“待つこと”もまた、治療の一部だった。
今振り返ると、あの時間も確かに、私に必要な通過点だったのだと思います。
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