大型犬との日々【第11話】大学病院で告げられた余命数日。愛犬の最期の答えと、私が受け取った強さ

かかりつけの先生から「がんかもしれない」と告げられたあの日、私は一度、自分の中で静かに覚悟を決めていました。

このまま家で、できるだけ穏やかに過ごさせてあげよう。
最期まで、住み慣れた場所で見守っていこう。

そう思っていたはずでした。

けれど、先生に背中を押されて、私はもう一度だけ“希望”に手を伸ばすことにしました。

まだ少しでも動けるうちに。
今なら、何か間に合うかもしれない。

そう信じて選んだのが、大学病院での精密検査でした。

けれどその日、私たちを待っていたのは、想像よりもずっと厳しく、そして残酷な現実でした。

※本記事はプロモーションを含みます。

🌨️ 大学病院の前日、急に崩れた愛犬の容態

幸運なことに、大学病院の予約は奇跡のように取れていました。

それは、私自身の入院前、ぎりぎり間に合うタイミングでした。
だからこそ私は、指折り数えるような気持ちでその日を待っていました。

当時のゴルは、まだなんとか自分の足でトイレに行くことができていて、食欲もほんの少しだけ残っていました。

もちろん元気とは言えません。
それでも私は、その小さな“まだ大丈夫かもしれない”を、必死に信じようとしていたのだと思います。

でも、その希望は、大学病院へ向かう前日に大きく揺らぎました。

食べられなくなった夜、眠ることすらできなかった姿

あんなに好きだった食べ物を、急に一切受けつけなくなったのです。

大好きなおやつも、いつもなら喜ぶものも、何ひとつ口にしようとしない。
それだけで、胸の奥がすっと冷えていくようでした。

そして夜になると、呼吸はさらに苦しそうになりました。

横になって眠ることもできず、座り込んだまま、荒く浅い呼吸を繰り返すばかり。
部屋の中には、今まで聞いたこともないような、高く太い嗚咽のような音が響いていました。

その音を聞いているだけで、胸が押しつぶされそうでした。

苦しいはずなのに、ゴルは私のそばから離れようとしませんでした。

むしろ、少しでも体を寄せるようにしてきて。
そのぬくもりが、余計に不安を大きくしていったのを覚えています。

「大丈夫だよ」と撫でながら、私の心の中では、もう“大丈夫じゃない”という現実が静かに広がっていました。

🌧️ もう諦めるべきか、それでも連れて行くべきか

そして迎えた、大学病院の当日。

朝になっても、ゴルの状態は明らかに悪化していました。

寝不足と衰弱で、立ち上がることすら難しい。
目の前にいるのに、昨日までの姿とはもう違って見えました。

せっかく取れた予約。
でも、ここまで悪くなっているのなら、もう移動させること自体が負担なのではないか。

「今日、連れて行くことは、本当にこの子のためになるのだろうか」

その迷いが、何度も何度も胸をよぎりました。

本当は、もう家で休ませてあげたほうがよかったのかもしれません。
あの子は、おうちにいたかったのかもしれない。

そう思わなかったわけではありません。

でも、それでも私は諦めきれませんでした。

もし、このまま何もせずに見送ることになったら。
「本当は何が起きていたのか」も、「少しでも楽にしてあげる方法があったのか」も、何もわからないまま終わってしまう。

その後悔だけは、どうしても残したくなかったのです。

🚗 雪道を越えてたどり着いた、最後の希望

家族の力を借りて、私はゴルを抱え、車に乗せました。

まだ外は暗い早朝。
大学病院までは、車で2時間以上かかる距離でした。

しかもその日は冬。
道には雪が残り、思った以上に時間がかかりました。

ナビに表示された予定時間は、とうに過ぎていました。
気づけば、3時間以上の道のりになっていました。

それでも不思議なことに、その日だけは空が晴れていたんです。

ずっと悪天候が続いていたのに、その日だけは、まるで何かに許されたように空が明るかった。

あの光景は、今でも忘れられません。

道中、私は何度も何度も後ろを振り返りました。

少しでも呼吸が苦しそうになっていないか。
少しでも様子が変わっていないか。

ただ、それだけを見続けながら、ようやく大学病院へたどり着きました。

でも、到着した時のゴルには、もう自力で歩く力は残っていませんでした。

担架で運ばれていくその姿を見た瞬間、胸の奥で何かが静かに崩れた気がしました。

🏥 大学病院で告げられた「あと数日」という現実

予約制だったこともあり、診察は比較的すぐに始まりました。

でも、そこで医師から告げられた言葉は、私の予想をはるかに超えて、厳しいものでした。

「よく、ここまで連れて来られましたね。非常に深刻な状態です」

そのひと言で、私はすべてを察しました。

正式な診断名は、悪性リンパ腫でした

正式な診断は、悪性リンパ腫。

しかも、すでに全身に転移していて、手の施しようがない状態でした。

さらに、肺のまわりには胸水もたまっていて、それが呼吸を苦しくさせていたのです。

「最悪、あと2〜3日。
もって、あと5日でしょう」

そう告げられた時、頭の中が一瞬、真っ白になりました。

あと数日。

その言葉はあまりにも短くて、あまりにも残酷で、すぐには現実として受け止めきれませんでした。

ここまで頑張って来たのに。
まだ若いのに。
どうしてこの子が、こんな苦しみを背負わなければならないのか。

いろんな感情が押し寄せてきて、ただ座っていることしかできませんでした。

でも、その一方で、心のどこかでは思っていたんです。

――やっぱり、ここへ来てよかった。と。

つらい現実だったとしても、ようやく“何が起きているのか”を知ることができた。
その事実だけは、確かに私の中に残りました。

🤍 帰るための処置。それでも、来てよかったと思えた理由

病院では、少しでもゴルを楽にするために、胸水を抜き、点滴の処置をしてもらいました。

その時、医師から言われた言葉が今でも忘れられません。

「これは、無事にご自宅に帰れるようにするための処置です」

つまり、それほどまでに状態は危うかったということでした。

“治すため”ではなく、“家に帰るため”。

その言葉の重さに、胸が締めつけられました。

私は、命の灯火がここまで小さくなっていたことを、その時あらためて思い知らされたのです。

それでもゴルは、長距離移動にも、検査にも、処置にも、最後まで耐えてくれました。

本当はしんどくてたまらなかったはずです。
本当は、おうちで静かにしていたかったかもしれない。

それでも、あの子は私の選択に、黙って付き合ってくれました。

その姿を思い出すたびに、今でも胸がいっぱいになります。

でも私は、大学病院へ行ったことを後悔していません。

なぜなら、処置を終えたゴルは、ほんの少しだけ呼吸が楽になったからです。

あんなに苦しそうだった呼吸が、少しずつ静かになっていった。
そして家に帰ったあと、ゴルは私の横で、穏やかな寝息を立てて眠ってくれました。

その寝息を聞いた時、私は心の奥でようやく少しだけ息ができた気がしました。

「この子を連れて来てよかった」

その答えをくれたのは、医師の言葉ではなく、ゴル自身だったのだと思います。

🤎 Rino’s Choice|最期の時間を少しでも穏やかにするために

治療を代替するものではなく、弱った体が少しでも休める環境と、家族のお世話を支える用品として紹介します。

ねどっこ 大型犬用3Dベッド
体を支える

ねどっこ 大型犬用3Dベッド

横になる時間が増えた体を、やわらかく支える療養場所に。

楽天市場で見る →
大容量ペットシーツ
急な変化に備える

大容量ペットシーツ

粗相や体調変化の際のお世話負担を少し軽くするために。

楽天市場で見る →
防水・吸収ペットマット
繰り返し使える

防水・吸収ペットマット

夜間や長時間の見守りで、寝床を清潔に保ちたい時に。

楽天市場で見る →

※療養用品は愛犬の状態に合わせ、獣医師の助言を受けて使用してください。価格・在庫・仕様は各商品ページでご確認ください。

🏠 Rino’s ROOM

愛犬との暮らしと療養で役立ったものをまとめています。

Rino’s ROOMを見る →

🫧 誰にも言えない気持ちを、少しだけ外に出せる場所

愛犬の余命を告げられた悲しみや、治療の選択への迷いは、家族だけで抱えるには重すぎることがあります。

PR

公認心理師にオンラインで相談できる「Kimochi」

答えを決めてもらうためではなく、張りつめた気持ちを言葉にしたい時の選択肢です。

Kimochi

※カウンセリングは医療・獣医療ではありません。緊急性がある場合は、適切な医療機関へご相談ください。

🕯️ 愛犬は、最後の時間まで私を強くしてくれた

来月から始まる、私自身の入院。

その時、私はゴルの最期を看取ることができるのか。
今の時点では、まだ何もわかりませんでした。

未来を思うと、不安しかありませんでした。

でも、先のことを嘆いてばかりいても、この子と一緒にいられる“今”は、容赦なく過ぎていきます。

だから私は、その日から先のことを考えすぎるのをやめて、ただ目の前の時間を大切にすることにしました。

苦しそうだった呼吸が少し落ち着いて、私の横で静かに眠るゴルを見ながら、何度も思ったんです。

この子は、最後の最後まで、私を強くしてくれている。と。

本当は、守ってあげる側のはずなのに。
支えているつもりでいたのに。

気づけば私は、何度もこの子に心を支えられていました。

言葉はなくても、ちゃんと伝わるものがある。
愛犬との時間は、そのことを何度も教えてくれます。

🌸 この記事のまとめ

大学病院で告げられた現実は残酷でした。それでも、愛犬を自宅へ連れて帰るための処置を受け、残された時間を一緒に過ごす道を選べたことに意味がありました。

この記事のまとめ

  • 急変時は自己判断せず、受診先へ連絡して移動の可否を確認する
  • 診断と余命は個体ごとに異なり、治療目標を獣医師と共有する
  • 治すことだけでなく、穏やかに帰宅し過ごすための医療もある

よくある質問

悪性リンパ腫の治療や余命は、どの犬も同じですか?

いいえ。病型、進行度、全身状態などで異なります。本記事は一例であり、診断や見通しは担当の獣医師へご確認ください。

容態が悪い時、遠方の病院へ連れて行くべきですか?

移動の負担と得られる医療を個別に判断する必要があります。まずかかりつけ医や受診先へ連絡し、移動方法を含めて指示を受けてください。

終末期に自宅でできることはありますか?

痛みや呼吸、食事、排泄、寝床などについて獣医師と相談し、苦痛を減らす計画を立てます。急変時の連絡先も事前に確認してください。

📖 次回の記事へ

大型犬との日々【第12話】自宅での酸素療法。消えゆく命を抱きしめて、私たちが交わした魂の約束

※本記事は個人の体験です。病状や治療、費用、回復経過には個体差があります。診断・治療の判断は必ず獣医師へご相談ください。