術後から1ヶ月と6日。
カレンダーだけを見れば、時間はちゃんと進んでいるはずなのに、私の中の感覚はまだその流れについていけていませんでした。
「もう1ヶ月経った」
そう思う日もあれば、
「まだこんなにしんどいのか」と感じる日もある。
体は確かに少しずつ回復している。
でも、心はそのスピードに追いつかないまま、置いていかれているような感覚でした。
今日は定期受診の日。
病院へ向かう足取りは、軽くもなく、重すぎるわけでもない、どこか曖昧なものでした。
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乳がん術後1ヶ月の受診日。安心と不安が交差する時間
いつもは形成外科と乳腺外科、2つの診察がありますが、今日は形成のみでした。
診察がひとつ少ないだけで、ほんの少しだけ気持ちが軽くなる。
それだけ、私はまだこの場所に緊張しているのだと気づきました。
待合室に座っていると、周りの人の気配や、静かな空気、機械の音がいつも以上に耳に入ってきます。
自分の番を待ちながら、私は何度も右胸の違和感に意識を向けていました。
張りつくような感覚。
突っ張るような違和感。
ふとした瞬間に出てくる痛み。
「順調です」と言われることを願いながらも、どこかで「まだ何かあるんじゃないか」と疑ってしまう自分がいました。
回復しているはずなのに、安心しきれない。
それが、この時期の正直な気持ちでした。
乳がん術後の検査結果待ち。不安が消えない理由
今日の診察以上に、私の頭の中を占めていたのは、来週のことでした。
来週は乳腺外科で、手術時に採取した結果が告げられる日。
この結果によって、これからの治療の方向が大きく変わります。
先生からは、ステージ的には低く、ホルモン療法のみになる可能性が高いと言われていました。
それでも、「確定ではない」という言葉が、ずっと心に残っていました。
「大丈夫かもしれない」
「でも、もし違ったら」
この二つの感情が、何度も何度も繰り返し浮かんできます。
何もしていない時間でも、頭の中ではずっと考え続けている。
日常の中にいても、完全に切り離すことができない。
検査結果を待つ時間は、静かなようでいて、心の中はずっとざわついていました。
遺伝子検査とお金の現実|選びたくても選べない苦しさ
診察の中で、遺伝子検査の話もありました。
より自分に合った治療を選択するために、受ける人もいる。
そう聞いた時、正直に思いました。
「受けたい」
少しでも後悔のない選択をしたい。
少しでも自分にとって良い方向へ進みたい。
でも、それは保険適用外。
決して軽い金額ではありませんでした。
病気と向き合う中で、何度も感じることがあります。
命の問題だけでは終わらないということ。
そこには必ず「お金」という現実がついてくるということ。
仕事の見通しもまだ立たない今、
私はその選択を現実的に取ることができませんでした。
諦めるしかなかった。
そう言い聞かせながらも、心のどこかに引っかかるものが残りました。
「本当は選びたかった」
その気持ちは、簡単には消えてくれませんでした。
再建後の痛みと違和感|思うようにいかない回復の現実
形成の結果自体は、順調でした。
今日で水抜きも最後になるだろうと言われました。
それは、確実に前に進んでいる証でもありました。
でも、体の感覚はまだ完全ではありません。
右胸の張り。
触れなくても分かる違和感。
時々ふいに出てくる痛み。
水は溜まっている様子があるものの、引けていく気配はなく、今回も経過観察となりました。
「順調」と言われても、自分の感覚と一致しないことがあります。
頭では理解していても、体が感じている違和感は消えない。
そのズレに、少し戸惑う自分がいました。
それでも、今は祈るしかありません。
少しずつ腫れが引いて、
少しずつ形が整っていくことを。
乳がん再建後の体と女性としての喪失感
以前は考えていた、乳輪や乳頭の再建。
でも最近は、その気持ちが少しずつ薄れてきました。
鏡に映る自分の体を見るたび、心が追いつかなくなっていったからです。
お腹には、帝王切開と子宮全摘の傷。
その上に重なる再建の傷。
右胸には大きく残る痕。
どこを見ても、以前の自分とは違う体。
その現実を前にすると、ふとこんな言葉が浮かんでしまうことがあります。
「もう女ではないのかもしれない」
本当はそんなふうに思いたくない。
でも、気持ちが沈んでいる時ほど、その言葉は強く心に響いてしまいます。
唯一残った左胸への想いと消えない不安
唯一残っている左胸。
それが今の私にとって、特別な存在になっていました。
時折、無性に愛おしく感じることがあります。
「まだここにある」と思えるだけで、安心する瞬間がある。
でもその一方で、そこにも不安はあります。
怪しい影。
定期的な検診。
もしこれも失ってしまったら――
そう考えた瞬間、言葉にならない恐怖が押し寄せてきます。
以前の、何も傷のなかった体を思い出すたびに、深い悲しみも一緒にやってきました。
50歳でも消えない「女性としての気持ち」
もう50歳。
そう思う自分もいます。
でも、それでも私は女性として生きてきました。
だからこそ、傷のない体を見て羨ましいと思ってしまう。
その感情は、簡単には消えませんでした。
左右非対称の胸。
変わってしまった体。
これを「生きてきた証」として受け入れられる日は来るのか。
今の私には、まだ分かりません。
彼への申し訳なさと、これからの向き合い方
彼に対しても、申し訳ない気持ちがありました。
これまでと同じようにはいかない現実。
体も、気持ちも、大きく変わってしまったこと。
ホルモン療法もこれから始まる。
その中で、女性としてどう向き合っていけばいいのか。
答えはまだ見つかっていません。
離れた方がいいのではないかと思う瞬間もある。
でも、離れることができない自分もいる。
その矛盾が、苦しさとして残りました。
竺丸の遠吠えと、いなくなった存在の大きさ
竺丸は、梵ちゃんがいなくなってから、遠吠えをするようになりました。
その声を聞くたびに、胸が締めつけられます。
ずっと寄り添っていた存在が、突然いなくなる。
その寂しさは、きっと計り知れないものです。
竺丸の姿に、自分の気持ちを重ねていました。
新しい命、天丸へつなぐ希望
春には、新しい家族を迎えます。
ゴールデンの子犬、天丸。
梵ちゃんがしてくれたように、
今度は竺丸が迎えてくれるかもしれない。
その想像だけで、少しだけ心が軽くなりました。
これからも問題はたくさんあります。
でも、その方が病気のことばかり考えずに済む。
そう思えることが、今の私にとっての救いでした。
Rino’s Choice|心と体にやさしく寄り添う時間
やさしい灯りの照明
夜になると、気持ちが沈みやすい日がありました。
そんな時、強すぎないやわらかな灯りに包まれるだけで、少しだけ安心できる瞬間がありました。
紅茶とお菓子のひととき
何も考えたくない時、温かい紅茶と甘いお菓子は、心をそっとゆるめてくれました。
ほんの少しの時間でも、自分を取り戻せる大切な時間でした。
お気に入りのマグカップ
毎日使うものだからこそ、少し気持ちが上がるものを選ぶ。
そんな小さなことが、日常を支えてくれていると感じています。
A8|頼ってもいい場所があるという安心
がん保険の専門相談サイト【baby planet】
治療と同時に向き合うことになるお金の問題。
専門の相談先があることで、ひとりで抱え込まずに済む安心感があります。
オンライン心理カウンセリング【Kimochi】
気持ちが追いつかない時、誰かに話せる場所があること。
それだけで、少し呼吸がしやすくなる瞬間がありました。
それでも、少しずつ前へ
この先のことを考えると、不安は尽きません。
でも、立ち止まりすぎずに、少しずつでも前に進んでいく。
今はそれしかできないし、それでいいのだと思っています。
ゆっくりでもいい。
私はこれからも、自分のペースで歩いていきます。
次回記事
検査結果を待つ長い午後。揺れる気持ちと、まだ続く術後の痛み|乳がん体験談【第23話】
診察室に呼ばれるまでの時間が、いつもより長く感じた午後。
手術で採取した検査結果が告げられる日。これからの治療や未来が、この日に大きく変わるかもしれない——そんな思いで胸がいっぱいでした。
少しずつ回復しているはずの体には、まだ痛みが残っていました。
不安と期待が入り混じる待ち時間。何気ない病院の景色さえ、いつもと違って見えたあの日のことを綴ります。
※本記事は個人の体験をもとに綴っています。治療内容や回復の経過、感じ方には個人差があります。体調や治療に関するご不安がある場合は、必ず主治医や医療機関へご相談ください。
※掲載している商品・サービスは、あくまで一例としてご紹介しているものです。ご自身の体調や生活環境に合わせて、無理のない範囲でご検討ください。

