特別な関係【第7話】失われていく自信と、深まる溝。病の淵で自分を見失いそうになった日々

※本記事にはプロモーションが含まれます。

あの喧嘩から、数日が経ちました。

けれど、彼との距離は元に戻るどころか、前よりもずっと遠くなってしまったように感じていました。

ちゃんとつながっているはずなのに、心だけが置き去りになっていく。

そんな感覚の中で、私は少しずつ、自分というものを見失いかけていたのだと思います。

乳がんの告知を受けてから、女性としての自信は、思っていた以上に深く揺らぎました。

前を向こうとしても、すぐに立ち止まってしまう。

気持ちを整えたつもりでも、ふとした瞬間に後ろばかり振り返ってしまう。

そんな毎日が続くうちに、彼の何気ない言葉さえ、今の私には鋭く心に刺さるようになっていました。

以前なら笑って受け流せたはずの一言が、どうしてこんなにも苦しいのだろう。

自分でもわからないまま、心の中に小さな痛みが積もっていったのです。

📱 既読のつかない画面に、やり場のない感情をぶつけてしまった

年末年始の彼は、仕事で忙しい時期でした。

頭ではわかっているのです。

忙しいことも、すぐに返事ができないことも、決して私をないがしろにしているわけではないことも。

それでも、前回の喧嘩の余韻は心の中でずっと燻り続けていました。

私は「いつも通り」を装っていたつもりでした。

でも本当は、少しも平気ではなかったのだと思います。

ある瞬間、まるで心の奥に火がついたように感情があふれ出して、私は彼に強い言葉をぶつけてしまいました。

直接言えるわけでもなく、既読のつかないLINEの画面に並ぶ、きつい言葉たち。

返ってこない画面に向かって、私は一人で壊れるように感情を吐き出していました。

「いっそ呆れられて、捨ててくれたらいいのに」

そんな自暴自棄な気持ちまで浮かんでしまう自分が、情けなくて、悲しくて、余計に苦しくなる。

どうして私は、こんなにもボロボロになりながら、それでも彼との15年という時間にしがみついているのだろう。

答えの出ない問いを抱えたまま、暗いスマホの画面だけが冷たく光っていました。

🪞 重なる喪失の中で、女性としての自信が崩れていった

私はこれまでにも、大きな喪失を経験してきました。

子宮を失い、そして今度は、乳がんによって片方の胸を失おうとしている。

再建という選択肢を選んだとしても、その過程で体に刻まれる傷や、心に残る揺らぎが消えるわけではありません。

鏡を見るのが怖い。

これからの自分の体を想像するだけで、胸が苦しくなる。

そんな日が、少しずつ増えていきました。

彼はきっと、これまでと変わらず接してくれる。

実際に、そういう人だと私はわかっていました。

でも、問題は彼ではなかったのです。

私が受け入れられないのは、彼の気持ちではなく、変わっていく自分自身でした。

自分を好きでいること。

自分を誇らしく思うこと。

そして、自分らしく生きること。

それを取り戻すまでには、今の私にはあまりにも長い時間が必要に思えました。

この暗闇は、本当に終わるのだろうか。

私はまた、前を向いて笑える日が来るのだろうか。

そんな不安ばかりが、静かに心を支配していったのです。

🌧️ 病気を言い訳にしたくないのに、心は沈んでいく

これから先、何度も不安に押しつぶされそうな夜が来るのだろうと思っていました。

特に、手術を待つ今の時間は残酷でした。

まだ何も終わっていない。

でも、もう今までの自分のままではいられない。

その途中に立たされている感覚は、思っていた以上に心を削っていきます。

自分の体が大きく変わったとき、私は彼とどう向き合えばいいのだろう。

そして何より、自分自身とどう向き合えばいいのだろう。

不安を全部、病気のせいにしてしまいたくはありませんでした。

病気だから仕方ない、と言い切ってしまえば少しは楽なのかもしれない。

でも私は、そうやって自分を諦めたくなかったのです。

だからこそ苦しかった。

気持ちは落ちていくのに、それを認めることさえどこかで拒んでいたからです。

私はあの頃、消えてしまいそうな自分を、必死につなぎ止めようとしていました。

この試練を越えた先に、もう一度前を向いて生きられる日が来るのなら。

それはきっと、何にも代えがたいほど尊いことなのだろうと思います。

🎗️ 誇らしく生きる「サバイバー」という存在に、希望を見ていた

世の中には、乳がんを経験しながらも、凛と前を向いて生きている女性たちがいます。

「がんサバイバー」という言葉を目にするたびに、今の私にはその姿がとても眩しく映りました。

病気に負けない強さというより、現実をそのまま受け止めながら、自分の人生をもう一度大切に生き直している姿。

その静かな強さに、私は何度も心を動かされていました。

今の私は、まだそこまでたどり着けていない。

不安で揺れて、感情を持て余して、彼との関係にも自分自身にも迷ってばかりいる。

それでもいつか、人への感謝を忘れず、自分の人生をちゃんと抱きしめながら歩ける人になりたい。

毎日を生き生きと過ごせる自分を、もう一度取り戻したい。

これを乗り越えた先には、きっと今までとは違う強さを持った自分がいる。

そのことを、わずかでも信じていたかったのです。

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※カウンセリングは医療行為ではありません。強い不調や緊急性がある場合は、医療機関や公的相談窓口へご相談ください。

🌸 まとめ|揺らぐ自分を、手放さずにいたいと思った

失われていく自信と関係への執着の中で、私は自分を見失いかけていました。それでも、強くなれない日を否定せず、自分を置き去りにしないことから始めたいと思います。

この記事のまとめ

  • 返事のない画面に感情をぶつけるほど、心は追い詰められていた
  • 身体の喪失感と自信の揺らぎには、時間と支えが必要
  • 苦しい時こそ、自分を責めず専門家を頼る選択肢がある

よくある質問

感情的なLINEを送ってしまった後はどうすればいいですか?

まず心と体を落ち着け、追加の連絡を急がないことが大切です。落ち着いてから、伝えたかった事実と感情を分けて整理します。

病気で女性としての自信を失うのはおかしいですか?

おかしいことではありません。身体の変化への受け止め方には個人差があり、時間が必要なこともあります。医療者や相談員へ話す方法もあります。

不安で日常生活がつらい時は?

眠れない、食べられない、消えたい気持ちがあるなど強い不調が続く場合は、一人で抱えず医療機関や公的な相談窓口へ早めに相談してください。

📖 次回の記事へ

次回は、不安な心をたったひと言で救ってくれた彼について綴ります。

特別な関係【第8話】不安な心をたったひと言で救ってくれた彼

※本記事は個人の体験です。病気や治療の判断は、必ず医師・医療機関へご相談ください。