特別な関係【第10話】|退院後に変わってしまった日々と、ふたりの距離

大人のパートナーシップ

※本記事はプロモーションを含みます。

退院して家に戻れば、少しずつ元の毎日が始まる。
そんなふうに思っていました。

けれど、現実は想像していたものとは違っていました。

身体は思うように動かず、気持ちは置いていかれたまま。
病院では何とか保てていた心のバランスも、日常の中では簡単に崩れていきました。

この頃の私は、恋愛も、自分自身も、これから先の人生も、何ひとつ自信を持てずにいました。

退院後の現実は、思っていたよりずっと苦しかった

退院したら彼と会う約束をしていました。

でも、その日に会うことはありませんでした。

私自身の術後の経過が思わしくなく、約束どころではなかったのです。

病院にいる間は、不安がゼロだったわけではありません。
それでも、決められた時間の中で過ごし、看護師さんがいて、次にやることも見えていた。

けれど家に戻ると、そこには“自由”と引き換えの現実がありました。

痛み。疲れ。思うように動けない身体。
誰にも見えない不安。終わりの見えない気持ちの揺れ。

日常に戻ったはずなのに、私はどこにも戻れていませんでした。

同世代の女性を見るだけで、苦しくなった日々

街を歩いている同世代の女性たちを見ると、胸が締めつけられるようでした。

もちろん、その人たちにもそれぞれの悩みや苦しみがあるはずです。
見えていないだけで、誰もが何かを抱えて生きている。

それでも当時の私には、ただ羨ましく見えてしまいました。

子宮を失い、右胸も失い、再建を選び、身体にはたくさんの傷が残った。

女性らしさとは何だろう。
私はもう、以前の私ではないのではないか。

そんな思いばかりが心を占めていました。

彼に対しても、自分から別れを切り出せないことが苦しかった。
好きだから離れられないのに、好きだからこそ申し訳なさも募っていく。

どうしていいかわからない時間でした。

久しぶりに会った彼は、何も変わっていなかった

退院してしばらく経ち、通院の日に合わせて、久しぶりに彼とご飯へ行きました。

彼は、何ひとつ変わっていませんでした。

そのことが、私にはなぜか痛かったのです。

彼はもともと前向きな人です。
一緒に沈み込むようなタイプではありません。

弱音ばかり吐いていたら、きっと叱咤される。
「落ち込んでも解決しない」
「その時間があるなら先のことを考えろ」

きっと彼は、そういう人でした。

そして、その言葉が正しいことも私はわかっていました。

でも、正しさだけでは救われない日もある。

ほんの少しだけでいい。
一緒に立ち止まって、隣で黙っていてほしかった。

あの頃の私が欲しかったのは、答えではなく温度だったのだと思います。

会わない時間は、心まで遠くしてしまう

会う日数も、会う時間も、以前とは比べものにならないほど減りました。

それは当然のことでした。

退院したばかりの私は、ろくに動けず、病院帰りに少し食事をするだけで精一杯。
以前のように長く一緒に過ごすことは難しかったのです。

彼の休みの日も、以前なら一緒に過ごしていたのに、今はそれぞれ別の時間を過ごしていました。

LINEで連絡は取っていても、何をしているのか、どんな気持ちでいるのかまでは見えません。

不思議なもので、人は会わない時間が続くと、自分の気持ちまでわからなくなっていきます。

15年以上続いてきたこの関係も、終わる時はあっけないのかもしれない。

そんな考えが、ふと頭をよぎることもありました。

Rino’s Choice|心が疲れた日に、そっと助けてくれたもの

気持ちが揺れている時期は、何かを劇的に変えるよりも、ほんの少し自分を楽にしてくれるものの存在がありがたく感じられました。

ノンカフェインのハーブティー

眠れない夜や、考えごとが止まらない時間に。
やさしい香りの温かい飲み物は、それだけで呼吸を深くしてくれます。

「ちゃんとしなきゃ」と張りつめた気持ちを、少しだけ緩めたい日におすすめです。

間接照明

明るすぎる部屋がしんどい日もあります。
そんな時、やわらかな灯りだけで過ごす夜は、不思議と心まで静かになります。

何も解決しなくても、落ち着ける空間があることは大きな支えでした。

ノイズキャンセリングイヤホン

外の音や生活音に疲れてしまう日は、静けさを選べるだけでずいぶん違います。

音楽を流さなくてもいい。
ただ少しだけ、自分の世界に戻るための時間をつくれるアイテムです。

心の整理をしたい時の選択肢|オンラインカウンセリング

近しい相手だからこそ言えないこと。
大切な人には重たく感じさせたくなくて、飲み込んでしまう気持ちもあります。

そんな時、第三者に話せる場所があることは救いになります。

答えをもらうためではなく、自分の気持ちを言葉にして整えるために。
無理なく頼れる選択肢として、オンラインカウンセリングという方法もあります。

病気は、たくさんのものを変えてしまう

病気になると、身体だけではなく、生活も、考え方も、人との関係も変わっていきます。

以前と同じようにはいかない。
それを認めることは、とても苦しいことでした。

長く築いてきた関係も、この先どうなるのかわからない。

ここから先、本当に試されるのは、お互いがどう向き合うかだったのかもしれません。

当時の私は、自分にまったく自信が持てず、引け目ばかり感じていました。

けれど今振り返れば、弱っていた自分を責めすぎていたのだと思います。

会うこと、向き合うこと、それだけで戻るものもある

どんなに喧嘩をしても、嫌いになったように感じても、少し時間を置いて会えば、不思議と以前の思いやりが戻ってくることがあります。

顔を見ること。
同じ時間を過ごすこと。

恋愛において、それはとても大切なことでした。

お互いを思いやる心は、一方通行では続きません。

簡単そうで、難しい。
もしいつも同じ温度でいられたなら、悲しむ人はもっと少ないのかもしれません。

それでも人は、出会いと別れを繰り返しながら、誰かと生きることをやめない。

それが、人間なのだと思います。

関連記事・次回記事へ

関係が揺れた時、本当に必要だったものは何だったのか。
次回は、少しずつ見えてきた“ふたりなりの答え”について綴ります。

▶︎ 次回記事:パートナーシップ第11話(準備中)

▶︎ あわせて読みたい:大人のパートナーシップ記事一覧はこちら


※本記事は個人の体験をもとに綴っています。治療内容や回復の経過、感じ方には個人差があります。体調や治療に関するご不安がある場合は、必ず主治医や医療機関へご相談ください。

※掲載している商品・サービスは、あくまで一例としてご紹介しているものです。ご自身の体調や生活環境に合わせて、無理のない範囲でご検討ください。

タイトルとURLをコピーしました